スロスのシンプルダイアリー

シアトルからアメリカ生活なんでも雑記ブログです。

悲報 アマゾンが街にやってくる!

 

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先日Amazon.com(以下アマゾン)が新しいヘッドクオーター( 本社・本部、略してHQ)をニューヨークのクイーンズ(ロングアイランド)とヴァージニア州のクリスタル・シティー(アーリントン)に建設すると発表しました。  

 

アマゾンの本社はワシントン州シアトルにありますが、その本社をよそに移すのではなく、HQのナンバー2を他の場所につくると発表したのが1年以上前のことです。  この時にアメリカ国内で誘致したい都市を募るという異例の発表をしました。  

 

アマゾンのHQがあれば、もちろん雇用が増えるし、それも少ない数ではありません。  それにアマゾンの職員は高額の給料をもらうので、その人たちが消費活動をすることで、都市の経済が活性化し税収増も期待できます。  それにアマゾンが来る事によって、ほかの会社も収益があがったり、よそから移って来ることも期待できます。  そんなわけで、あそこもここもと200以上の都市が名乗りをあげました。

 

大きな産業がなくて、切実にアマゾンのような大きな会社が来る事を願っていた都市にとっては、もうすでに大きな産業があって発展している二つの都市が選ばれたというのは納得いかないことだと思います。  でもアマゾンがやってくるのがそんなにいいことばかりなのでしょうか?  アマゾンがどんどん大きくなっていったお陰で、愛するシアトルがいまのような姿になってしまったのを見ている私としては、アマゾンなんか来なくてよかったと思うよ〜、と言ってあげたい気分なのです。  

 

アマゾンの歴史

 

Amazon.comは、いま世界で一番お金持ちのジェフ・ベソスがシアトルで1994年に始めた会社です。  詳しいことは下のWikipediaのページを読んでください。  

 

Amazon.com - Wikipedia

 

アマゾンは初めは主に書籍を扱っている会社でした。  1995年にAmazon.comとしてインターネットで本を売り始めました。  私がアメリカに留学生として初めて来たのが1995年だから、同じ頃にアマゾンが始まったんですね。  当時の私にはインターネットなんてとても新しいもので、Eメールのアドレスすらもっていなかったくらいですから、アマゾンなんかで買い物をするわけがないのですが、ある知り合いの女性が本が安く買えるのよ、と勧めてくれた記憶があります。

 

2001年から本だけでなく、CDやDVDに始まって、どんどん取扱商品を増やしていき、今はアマゾンで売っていないものなど考えられないくらい、ありとあらゆるものを扱っています。    

 

シアトルとアマゾンの関係

 

以前はシアトルというと、ああ、マイクロソフトのある所ね、と言われたものでした。  実際にはマイクロソフトはシアトル市内ではなくて、近くのレドモンドというところにあるのですが、まあ大まかな場所としてはシアトルと言ってもおかしくない所です。  それがここ数年は、アマゾンのあるところと言われることの方が多くなりました。  そしてシアトルの外に住む人たちには、シアトルは金持ちの住む所だという印象を持たれるようになりました。  

 

それもそのはずです。  アマゾンのお陰(せい)で、シアトルはのんびり個性的でグランジなエメラルドシティから、一気に若いテックワーカー(IT関係の人たち)の溜まり場になってしまったんですから。  

 

アマゾンがシアトルのダウンタウンの北のあたりにある、レイクユニオンという湖のすぐ南のあたり一帯にオフィスビルをいくつも建てて、2010年には一年間で35,000人もの職員を増やしたんです。  もちろん全てが元々シアトルや近郊に住んでいた人たちではありません。  よその街や州からアマゾンに雇われてシアトルに移り住んで来た人がほとんどです。  過去8年では114,000人が雇用されたそうです。 去年だったかニュースで聞いたことによると、1日に50人以上の人がシアトルに移って来ていた勘定でした。  

 

もし外国から就労ビザをもらってアメリカに来るのであれば、アメリカ政府はその数を調整して、一度にどっと外国人が押しかけてくるようなことにはしないはずですよね。  だけどシアトルではアマゾンの職員にビザなんか発行しないんだから、雇われればどんどんやってくるわけです。  今まで住んでいた人たちのことなんかお構いなしにです。  

 

そうやって人が一気に増えたらどうなるか、そんなの住宅難に決まっていますよね。  新しいアパートやコンドミニアムを建てて、今まで庭付きの一軒家だったところを壊して何軒もギッチギチに家を建てたり。  ここ10年くらいは、一年中建設ラッシュです。  そして需要よりも供給の方が少ないということは、家の値段は上がっていく一方です。  

 

多少高い値段をつけられても、アマゾンのようなところで働いている人たちは高級取りなので、住むところが必要だからお金を出します。  だから売る方はどんどん値段を釣り上げる。  そうしてシアトルはとんでもない住宅バブル経済になりました。  

 

2012年に家の中間値が約$330,000程度だったのが、2018年の3月には$800,000を超えました。  これは平均の値段ではなくて、高い値段と低い値段の真ん中の値段です。  

 

下のウェブサイトにシアトルの不動産市場の過去10年間の値段の変遷がわかるグラフが出ています。  ↓

 

www.urbancondospaces.com

 

2012年から家の値段が93%も上がっているというデータもあります。  つまりたったの6年間で、値段が2倍になったというわけです。  五千万円で買った家が、そのままにしておいて6年経ったら一億円近くになるというわけです。  

 

もちろん家を売るつもりならこんなに嬉しいことはないですよね。  買った金額と同じだけの利益が出るんだから。  もっと昔に家を買っていたら、もっと儲けがありますよ。  もしかしたら元の値段の何倍にもなるかもしれません。  でも家を売りたい人ばかりではありません。  昔からシアトルに住んでいて、この先もずっとここにいたいと思っていても、家の値段が上がると同時に固定資産税がどんどん上がっていって、払いきれずに仕方なく家を売る人も大勢います。  

 

持ち家がある人はいい方で、アパートや借家に住んでいる人は、家賃が毎年どんどん上がって行くから支払いが出来なくて引っ越しをしないといけなかったり、最悪の場合にはホームレスになってしまう人がいます。  

 

10年前のシアトルにもホームレスはいたけれど、今ほど大勢はいませんでした。  街がリッチになって、アメリカ国内でもトップを争うほどの高成長をしていると言われているシアトルですが、それと同時にホームレスの数は急上昇中で、何千人もいるんです。  ホームレスシェルターにいる子供も大勢います。  これから数が減るようには思えないし、その人たちのためのサービスや施設が急激に充実していくようにも思えません。   

 

人が増えれば車の数も増えるから、交通渋滞はますますひどくなります。  バスや電車の数も増えたけど、何時に乗ってもすごく混んでいます。  10年前はこんなことはなかったんですけどねえ…

 

ニューヨークとヴァージニアの方々へ

 

ニュースでアマゾンに反対しているニューヨークの人たちのことが映っていました。  シアトルのこの急激な変化(しかも良くない方向へ)を知っていたら、誰でもそこに住んでいる人はアマゾンなんかに来て欲しくないと思います。  

 

ニューヨークではアマゾンに雇用者一人当たりに$48,000、ヴァージニアでは$22,000の税額控除をすると約束したそうです。  アマゾンなんて世界でトップの会社で、そんな税額控除なんかしてもらわなくても、十分にやっていけるのに、誘致したいばっかりにアマゾンにいいような条件を出したものだから、もちろんアマゾン側でそれを断るわけがありません。  でももしそんな額の税収があったら、ニューヨークでもヴァージニアでも、インフラのためとか、子供たちのためとか、ホームレスのためとか、いろんなことにお金を使えるはずなのに、なんでもうお金がある会社にもっと得させないといけないのかが理解出来ません。  そこのところを市のトップの人たちはどう理解しているんでしょう?

 

クーンズやアーリントンに住んでいて、細々と暮らしている人たち。  そこで生まれ育って、ずっとこれからも暮らしていきたいと思っている人たち。  みんなが住みたいだけそこに住み続けられるように応援していますよ!  

 

ジェフ・ベソスはお金があり過ぎて、もう普通の人の気持ちなんかわからないんでしょうね。  アマゾンがエンパイアを築くのは勝手だけど、せめてもう少し人情がわかる会社でいて欲しいと願う今日この頃です。

 

 

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